与五沢矯正研究会について

品格のある質の高い矯正歯科臨床の探求
正しい矯正歯科治療とは何だろう
真剣に考え、正しさ・上質・美しさを求める方へ

研究会の創造

与五沢矯正研究会 ディレクター 与五沢 文夫

1972年の秋、私はアメリカから帰国し、持ち帰った矯正臨床の術式を私の仲間の矯正医に公開しました。その後、毎年一回、矯正専門をめざす矯正医を対象に、一週間の少人数の講習会を開催しました。1979年、受講生の中の5名の有志が発起人となってスタディーグループが設立されました。それが当会です。

与五沢ディレクター ごあいさつ 与五沢ディレクター インタビュー

本年度会長のごあいさつ

第41回会長 原省司

私は1989年に新潟大学歯学部を卒業し、歯科矯正学教室に入局しました。当時新潟大学の医局は様々なマルチブラケットシステムが混在し治療のゴールも明確ではありませんでした。医局員はより良い治療システムを求めていました。1989年の4月には10人近い医局員がツーソンで開催されたツイードファンデーションのコースに参加しました。同年5月数名の医局員が与五沢先生の箱根の講習会を受講しました。そこで与五沢エッジワイズシステムの神髄に触れた医局員が教授の許可を得て外来で与五沢エッジワイズシステムに従った治療を開始しました。新潟大学の新人教育では1年目にタイポドント実習を行っていました.この年は1年目(松岸、小林、星)のみならず2年目、3年目の先生も一緒にタイポドント実習を行いました.インストラクターはもちろん箱根帰りの医局員でシステムは与五沢エッジワイズでした.こうして私は最初から与五沢エッジワイズシステムを学ぶ機会に恵まれました。
入局2年目には初めて与五沢先生にお会いすることができました。与五沢先生を新潟大学にお招きしお話しを聞く機会を得ました。今考えればとんでもない企画だったと思います。我々はまず症例の治療前の資料をプレゼンします。それを基に与五沢先生に「どう治療するか。」「患者はどの様に成長し治療に対してどの様に反応するか」の予測をお話しいただいた上で、我々の治療結果をプレゼンするというまるで与五沢先生を試験する様なものでした。与五沢先生のプレディクションはずばずば的中しとてもエキサイティングで愉しかったのを覚えています。この時、I 期治療の症例でしたが私もプレゼンテーションをさせていただきました。「上顎が劣位だ」「下顎が優位だ」「下顎に勢いがある」などの言葉は セファロ計測値やプロフィログラムなどを普段使いしていた者にとってはちんぷんかんぷんでした。この人は何をいっているのだろう。全くわからない。でも、わかったらいいことがありそうだということだけはわかりました。私は多分この時に矯正歯科臨床の深みにはまったのだと思います。
当時の私にとっては先輩の箱根講習会のノートのコピーと与五沢先生の文献が与五沢エッジワイズを理解するための資料でした。特に1988年にモノグラフに掲載された「矯正治療の限界とその可能性—20年間の臨床経験から—」に掲載されている図の意味を理解しようと努力しました。そんな中1994年に箱根の講習会を受講しました。その際にご本人に伺いやっとすべての図の意味を理解することができました。その後、与五沢先生の患者となり、月に一度、与五沢先生の臨床を見学し、その都度質問し自分の疑問を解消していきました。
私は矯正を学ぶはじめから一つのフィロソフィーにしたがって学び実践して来たので大変効率よく学ぶ事ができたと思います。臨床でも同じフィロソフィーに従った、インストラクターが見守ってくれるので最初から大きな失敗をする事なく修得する事ができました。患者さんには感謝しています。
そうこうしているうちに、私も後輩に教える立場となり、少しでも与五沢先生の考え方を理解してもらうように努めました。今ではプラクシスアートが刊行されているので、そのような立場の人間がいなくとも学ぶ事はできると思います。しかし、人から熱く熱意を持って伝えられたことと、本を読んで得たことには多分違いがあると思います。私は新潟大学でのセミナーで「下顎に勢いがある」と熱く語る人から贈与をうけたのだと思います。その時はなんだかわからないけど役に立ちそうだと思いとりあえずいただいておきました。その後、大変有用なものをいただいたと理解するようになり、それを他の人に渡したくなりました。ただ、私が未熟なせいでなかなかうまくもらっていただけなかった人もいます。だだ、何人かの人にはうまくもらっていただけたようです。
研究会には初学者からベテランまで様々なステージの方がいます。各人で振る舞い方は違うと思いますが、与五沢先生からの贈り物を大切に次の人に手渡ししていく事を続けていけたらと思っております。 2018年の日本は底が抜けています。学生を守ることを放棄した教育者や自らの言葉に責任を持たない政治家が大手を振って歩いています。歯科矯正の世界も同様です。治療効果の定かでない新しい矯正装置を売りに患者さんを集める人々がいます。(これは日本に限りません)彼らはテクノロジーへ過度の期待を持もっていますが自然に対する敬意を欠いています。
私たち与五沢矯正研究会はテクノロジーへの大きな期待を持ちつつも基底では自然に対して深い畏怖をもち、有機体としての生体の反応に我々が対応できない場合があることを知っている集団である、と思います。
第41回の与五沢矯正研究会では与五沢文夫先生、小長谷一夫様とともに今一度、原点に立ち返り、適切な期間内に安全に最適な治療結果を供給するためには何を行うべきか、何を行ってはいけないかを考えて見たいと思います。