矯正歯科を探す

矯正歯科医院の選び方

歯医者さんなら誰でも矯正治療ができると思っていませんか? また、どこで矯正治療をしても、必ず理想通りの仕上がりになると思っていませんか?
矯正治療は、歯科医師の専門知識や技術レベルに左右される医療です。従って、どこの歯科医院で治療を行うか、どの歯科医師が治療を行うかは非常に重要です。
しかしながら、現在の日本では、矯正治療の専門知識や臨床経験がない歯科医師でも、歯科医師免許さえあれば矯正治療を行うことができるのです。

では、どのように信頼できる歯科医院を選べば良いのでしょうか。皆さまが安心してより良い矯正治療を受けていただけるように、ここでは歯科医院の選び方の指針になるチェックポイントをまとめています。全てが治療開始前の事前チェック可能なものではありませんが、治療中に歯科医師に不信感を持った場合などの振り返りにも活用できますので、是非、参考にしてみてください。

歯科医院選びのチェックポイント

Point1.矯正治療を専門とする歯科医院であるか確認しましょう

矯正治療と一般の歯科治療には大きな違いがあります。一般の歯科治療は、苦痛の軽減や元の状態に戻すこと(機能回復)を主な目的としますが、矯正治療は、歯列・あご・顔面の新たな状態・位置関係を作り出すことが主な目的となる「創造」の医療です。つまり、「歯並びを整え、咬み合わせを正しくし、口元を美しくする」専門性・特殊性の高い治療なのです。歯科医師の見方・考え方や治療法が大きく違う治療内容ですので、一般の歯科治療と矯正治療を一緒にやっていくことは難しいと考えます。故に、矯正治療専門の歯科医院での治療をお勧めします。

Point2.一般の歯科医院なら、常勤の歯科矯正医が在籍しているか確認しましょう

一般の歯科医院でも歯科矯正医が在籍している医院があります。院長が矯正専門の歯科矯正医である場合や、常勤の歯科矯正医が居る場合は良いのですが、現実には、非常勤の歯科矯正医が週1回や月1~2回の頻度で診療に来ているケースが多いです。当然そのような場合は、装置が壊れたり、痛くなったりした時など、十分な対処ができません。
また、非常勤の歯科矯正医は、自身の開業などにより突然辞めたりする場合もあり、治療期間の長い矯正治療においては不確実な要素かもしれません。歯科矯正医は、動的治療終了後、保定期間まで、責任を持って担当すべきと考えます。

Point3.歯科矯正医の技術レベルをできる限り調べてみましょう

どんなに良さそうな医院であっても、実際にあなたの矯正治療を行うのは歯科医師個人です。矯正治療を任せようと思う歯科矯正医の技術レベルについては、できる限り調べてみてください。
矯正の専門開業をしていないからといって、必ずしもその歯科医師の技術が劣っているとは限りません。同じように、矯正専門だからといって、その歯科矯正医の技術が担保されているとも限りません。
では、実際どのように調べたら良いかというと、初診相談に行くのが一番です。歯科矯正医が行った治療症例を見せてもらったり、検査の流れや治療の説明をしっかり聞いてみてください。ホームページなどで確認することも良いと思いますが、広告では良いことしか見えない場合もあります。

Point4.自分の症状に似た治療症例を見せてもらいましょう

治療を担当する歯科矯正医には、是非、治療症例を見せてもらえるよう頼んでみてください。症例患者さんのプライベートを考慮した範囲で見せてくれると思います。その際、矯正治療を行ったらどのような状態になるかを詳しく説明してくれる歯科矯正医・歯科医院を選ぶことです。
あなたが「自然で美しい口元にしたい」という要望があるなら、失敗矯正治療のような治療とならないように、あなた自身が『症例の仕上がりの良し悪し・上手下手を見極める』ことが必要です。「医院がきれい」や「最先端設備が完備されている」なども大切ですが、仕上がりを何よりも重要視するなら、担当する歯科矯正医がどのような治療をしてきたかを確認することが大事です。

◆治療前後の写真の見方

口元の美しさ 口元の美しさ
口元やオトガイにしわ・力み・歪みなど
筋肉の緊張がなく自然な状態であること
横顔の美しさ 横顔の美しさ
鼻先とあごを結んだ線より
唇が後退していること
前歯の咬み合わせ 前歯の咬み合わせ
前歯が前後のバランス良く美しく並び
自然な状態できれいであること
正中(中心線)の一致 正中(中心線)の一致
上下の歯列の中心が合っている
状態であること
奥歯の咬み合わせ 奥歯の咬み合わせ
上下の奥歯がしっかり咬んでいる
状態であること

Point5.歯科矯正医の「治療の考え方」を確認しましょう

治療を行う歯科矯正医がどのような考えを持っているかによって、治療の結果は変わります。例えば、歯科矯正医があくまでも非抜歯治療にこだわっている場合などは注意が必要です。歯を抜く方法と抜かない方法では、特に治療後の口元の状態が違うことがあります。

抜歯・非抜歯のポイント

「歯をきれいに並べるのが矯正治療だ」という考えは、矯正治療の一面だけを取り上げたものです。確かに、「きれいに並んで整った歯並び」は当然ですが、「あごと調和した咬み合わせ」「歪みのないバランスの取れた口元」もとても大事なことです。以下の治療例をご覧ください。

治療前(23歳) 治療前(23歳) / 治療後(26歳)

歯並びはきれいですが、上下の前歯が前方に突出して自然に口を閉じられず、いつもポカンと口が開いている状態でした。抜歯矯正にて治療した結果、口元の緊張はなくなり、自然に口を閉じることができ、オトガイの歪みもなくなりました。

治療後(26歳) 治療前(35歳) / 治療後(38歳)

他歯科医院にて非抜歯矯正にて治療を始めましたが、口元の突出感の改善を希望して転医し、抜歯矯正にて再治療しました。その結果、口元は後方に下がって、口は安静に閉じることができるようになりあごのラインも非常にきれいになりました。

「美しい口元」も矯正治療の大事な目的の一つです。口元の美しさのポイントは、こちらのページをご覧ください。

美しい口元への考え方

Point6.矯正専門の検査をきちんと行っているか確認しましょう

◆治療開始前の検査内容

矯正治療開始前の検査は非常に重要です。最初に下記の検査をきちんと行わずに治療が始まる場合は要注意です。

  1. 写真撮影:顔(正面・横顔・笑顔)、口元・口の中
  2. 歯型採取
  3. レントゲン撮影:頭部X線規格写真(セファログラム)、歯(パントモ)
レントゲン撮影 レントゲン撮影
歯型採り 歯型採り
 顔の写真撮影 顔の写真撮影
口の中の写真撮影 口の中の写真撮影

◆頭部X線規格写真(セファログラム)の重要性

頭部X線規格写真(セファログラム)は、矯正治療では絶対に必要です。歯科矯正医が治療計画を立てるのに重要な役割を果たします。これによって下記1~3のことが判り、結果、十分に配慮された矯正治療が行うことができます。

  1. 顔面頭蓋における上下のあごの関係および歯列の位置などの立体的観察ができる。
  2. 長期においては、あごや歯列の関係などの今後を予測・推測することで、治療方針・目標の設定に役立ち、良い仕上がりを得ることができる。
  3. 矯正治療終了時には、治療前後のセファロの重ね合わせを行うことで、あごや歯列にどのような変化が起きたのか、そしてどのような変化がこの治療結果を導き出したのかをしっかり読み取ることができ、それが矯正治療の更なる質の向上のための着実な一歩になる。

Point7.検査内容を分析・診断し、きちんと説明が行われるか確認しましょう

◆分析・診断・説明

精密な検査により患者さんの正確な現状が判明すると、歯科矯正医は分析・診断の上、治療計画をご説明します。
検査結果を正しく分析し、診断する力、さまざまな要素を予測して治療計画を策定する力は、歯科矯正医の知識や経験がものを言う部分です。臨床経験豊富な歯科矯正医は、やはり安心の度合いも上がるでしょう。

分析・診断
頭部X線規格写真(セファロ) 頭部X線規格写真(セファロ)
上下のあごと歯のレントゲン(パントモ) 上下のあごと
歯のレントゲン(パントモ)
顔と口の写真/ 歯 型 顔と口の写真/歯型
矢印
患者さんへの説明
患者さんへの説明 患者さんへ診断の結果や治療計画を説明

◆しっかりとした治療計画が立てられているか

矯正治療を始めるに当たって、どのような治療方針・方法か、どのくらいの治療期間をかけるのか、どのような歯並びにするのか、どのくらい費用がかかるのか、歯科矯正医からきちんと説明があるか確認してください。しっかりした治療計画が、より良い治療結果を導きます。

治療計画の重要性

◆メリット・デメリット 両方の説明があるか

メリットだけの治療法は、矯正治療に限らずありません。下記のような注意点・リスクなどを十分に理解・同意していただいた上で、治療を進めていく必要があります。

  • 矯正治療で、「整った歯並び」「きちんとした咬み合わせ」「美しい口元」を獲得することができますが、それを得るためには、上下の歯を複数抜いて治療することが多いです。
  • 治療期間は、普通は2~3年かかります。ただ、症例によっては数年かかることもあります。
  • 治療に際して、患者さんご自身が取り外しタイプの矯正装置(ヘッドギア等)や、上下歯列の装置にかける小さな輪ゴム(顎間ゴム)の使用状況(毎日必ず使用・1日何時間必ず使用など)が、仕上がりに大いに影響を与えます。
  • 歯みがきなどの口腔管理が悪いと、むし歯や歯周病になりやすくなります。

治療中にも治療の進行状況や問題点などは随時説明があって当然ですが、疑問があれば患者さんのほうからもその都度説明を求めてください。
また、矯正治療中に他地域への転居で通院が不可能の場合は、転居先で矯正治療を継続してもらえる矯正歯科の紹介、並びに治療の進行状況による矯正治療費などの精算をしてくれるかどうかも確認してください。

Point8.矯正専門の歯科医院では、一般歯科と連携した歯科医療を行っているか確認しましょう

矯正歯科医院は、矯正治療のみという専門性を大切にしているため、むし歯治療・歯周病治療・抜歯などの処置は行わないことが多く、一般歯科治療に関して緊密に連携している歯科医院があるかどうかは大切な要素です。連携歯科医療体制がしっかりとできているかは確認しておくと良いでしょう。

Point9.矯正の専門知識のある歯科衛生士・スタッフがいる医院はより安心です

何回も述べますが、矯正治療は一般の歯科治療とは全く異なる治療であり、矯正歯科医院の歯科衛生士は、その特殊性を十分理解しています。矯正治療の進行に伴っての矯正装置の追加・交換・変更・除去、咬み合わせ・歯の動きによる口腔内の変化に合わせた歯みがき指導や口腔衛生ケアなどを的確に行えるため、より良い治療結果を目指し、そして得ることができます。

治療症例を見ればわかることがたくさんあります

あなたが矯正治療によって理想的な美しい口元を手に入れたいと思っているのであれば、治療を任せようと思う歯科医院や歯科矯正医の技術力をしっかりとチェックしてください。矯正治療は、歯科医師であれば誰でも同じように美しい仕上がりの治療結果を提供できるわけではありません。

歯科医院・歯科矯正医の技術レベルを知るためには、Point4の「治療前後の写真の見方」を参考に、是非、治療結果の良し悪しが判別できるようになってください。 当サイトにもさまざまな症例写真が掲載されていますので、ご自身の症状と似た症例などを探してみてください。このようにウェブサイト上に症例写真を掲載できることは、治療技術に自信と責任をもつ証拠です。そういった視点でもいろいろなサイトを見てみるのも良いでしょう。

スタンダードエッジワイズ法症例一覧

また、当サイトには矯正治療で失敗した治療例も掲載しています。安易な選択で、あなたが辛い思いをしないように、上記チェックポイント参考に、間違いのない選択をしていただきたいと思っています。

失敗矯正例一覧

Yogosawa Foundationでは、矯正治療を始めようと思う皆さまには、当会の医院に限らず、しっかりした歯科医院に巡りあって欲しいと思っています。良い矯正歯科医院とは、歯科矯正医の技術力はもちろんですが、患者さんが安心して長期にわたる治療を続けられるよう、歯科矯正医が人としての品格や誠実さを兼ね備えていることも大切です。是非、技術と人間性の高い歯科矯正医をあなた自身が見極めてください。そして、より良い矯正治療を始められることを願っています。