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美しい口元への考え方

矯正治療で目指す「美」

与五沢ディレクターは、矯正治療は「美しくなるためだけに行われるものではないが、美しくするために行われるものである」と言います。

矯正治療とは、歯や歯列だけに関わるものではありません。歯や上あご下あごの骨などの「硬組織」と歯肉や舌、口腔周辺筋などの「軟組織」からなる口元全体を考慮して、治療のゴールを計画する必要があります。
歯列などの硬組織だけにフォーカスすると、歯は一列に並んだけれど口元全体が前方に出てしまうなどといった「美しい口元」とは言えない仕上がりになってしまいます。

患者さんの歯や骨格には個人差があり、美容整形のように希望する形にゼロから造り変えることはできませんが、患者さんが持つ生来の美しさを引き出すこと無しに考えるのでは、矯正治療を行う意味がありません。個々のさまざまな制約の中で、その生体に合う最大限の「治療のゴール」を探求することを怠ってはいけないと私たちは考えます。元の健康な状態に「戻す」ことを軸にした一般歯科治療とは違い、「創造の医療」とも言われる矯正治療は、治療を担当する歯科医師の「美」への考え方に大きく左右される医療なのです。

矯正治療のゴール

矯正歯科医院の選び方

調和のとれた美しい口元とは?

主な日本人が分類される「モンゴロイド(黄色系人種)」は、「コーカソイド(白色系人種)」に比べると、鼻は低く、オトガイもあまり発達してはいません(図1・2)。そして、口元は突出し、安静に口を閉じられない症状の方が多い傾向にあります。

図1:各年齢でのオトガイの大きさ比較(女性)図1:各年齢でのオトガイの大きさ比較(女性)
図2:オトガイ部図2:オトガイ部

オトガイ筋とは表情筋の一つで、咀嚼や発声の時、また、感情を表現する時に動きます。オトガイ筋を緊張させる表情には、怒りや威圧、不満足などの感情が含まれ、好ましい容貌にはなりません。解剖学的な構造では、口を閉じた時の過度の緊張が、オトガイ部に梅干し状のしわや下口唇の外形線に歪みを生み、あごが下がったように見える方も多くなります。

下記の図をご覧ください(図3・4)。同じ骨格形の構造であっても、軟組織の構造によって外貌は全く異なることがわかります。

図3:同じ骨格形の横顔とセファロトレース図3:同じ骨格形の横顔とセファロトレース
図4:術前術後の変化の差異図4:術前術後の変化の差異

矯正治療をすることで、この口元の突出感は解消し、無理な力を入れなくても自然に口を閉じられるようになります。生体にとって調和の取れている状態とは、唇を閉じた時に過度な緊張を伴わない状態です。安静な口元は口腔周囲筋やオトガイ筋に不自然な力が入らず、容貌も自然でリラックスしている感じが見て取れます。

次に、下の写真をご覧ください(図5・6)。共に同じように前歯が出ている症例ですが、口唇周辺の形態はかなり違って見えると思います。その主な理由は、硬組織と軟組織の長さの問題です。
口を閉鎖するのに十分な長さのある口唇の場合は、周辺組織の歪みは少なくなりますが、軟組織の長さが硬組織の長さに対して短いと、口を閉じる際に無理な筋肉の緊張がかかり、口元は安静な状態ではなくなります。

図5:硬組織と軟組織の長さが合っている場合図5:硬組織と軟組織の長さが合っている場合
図6:硬組織の長さに対し軟組織の長さが短い場合図6:硬組織の長さに対し軟組織の長さが短い場合

また、下の写真をご覧ください(図7)。こちらもよく見られる上下顎の前突歯列の症例です。歯の咬合状態だけで言えば、歯のでこぼこはひどくなく、上下の歯の接触状態も特に支障ありません。しかし、別の視野に立てば、周囲筋との不調和が観察されます。このような場合の矯正治療は、軟組織の歪みの解消が主な目的となります。

図7:歯並びは良いが軟組織との調和がとれていない例図7:歯並びは良いが軟組織との調和がとれていない例

つまり、美しい仕上がりのためには、歯列の並びや歯の対咬関係だけでなく、硬組織と軟組織のバランスも加味した上で治療計画を立てることが重要であり、必要であれば抜歯も視野に置き、常に口元全体の調和を考えることが大切なのです。
さらに言えば、成長期の矯正治療では「発育」というこの後の変容をも予測して考える必要があり、美しい口元を創り上げる矯正治療には、歯科矯正に関する十分な知識や経験が大切だということがおわかりいただけると思います。

抜歯・非抜歯のポイント

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