強い下突咬合の偏位咬合、変則的な抜歯により治療した症例

治療担当者:与五沢 文夫 よごさわ歯科矯正

偏位咬合 下突咬合 偏位顎 下突顎

治療前 Before Treatment

顔貌

口腔内

治療後 After Treatment

顔貌

口腔内

治療前 Before Treatment

治療方針

強い下突咬合の偏位咬合、変則的な抜歯により治療した症例。

正貌において下顎が左側に偏位し、側貌においては下顎の前方位が目立つ、上顎4前歯が交叉する下突咬合で、下顎正中が左側に偏位している。
この症例の特徴は、path of closureにおいて下顎がやや前方へ移動しながら中心咬合位となることで、そのためover closureの傾向がある。
口唇部がcomperent lip であることから下顎の時計方向への回転を治療計画に含め、右側が強いⅢ級であるため下顎右側第二大臼歯の抜歯により治療をおこなった。

顔貌

口腔内

模型

セファロ

パノラマ

治療後 After Treatment

治療経過 概要

顔面の全体的な調和は大きくは乱れていないが、上顎後方部での縦の発育がやや劣位である。
下顎は骨体部が長く、下顎枝がやや短い、左右側の下顎枝の長さの違いが確認され、右側が長く骨格性の偏位と判断される。
軟組織の形状と硬組織との関係から、over closureの様相がうかがえる。
したがって下顎の回転効果を起こさせながらマイナスオーバージェットの改善をはかる、下顎の回転効果は上顎の臼歯の挺出によっておこなわれた。

顔貌

口腔内

模型

セファロ

パノラマ

治療前後の比較(セファロの重ね合わせ)

黒ライン  初診時     7-30-’'91

赤ライン  治療終了時  2-  1-’94 

治療結果

右側は一歯分ズレのある強度のⅢ級で、また偏位のある困難な症例と思われた。
上下歯列とも歯牙サイズは歯槽基底との大きさに比べて大きめであるが、なんとかdiscrepancyは許容できそうである。
したがって歯槽基底と歯牙との関係からは抜歯を避けられるが、右側のⅢ級の治療は非抜歯では不可能と判断した。
この症例ではしっかりとした歯冠、歯根形態と形態と想像される第三大臼歯が存在するので下顎右側第二大臼歯の抜歯をおこない、
第一大臼歯の遠心移動を可能な状態とした。

治療経過 Progress

保定 After Retention or During Retention

保定終了時 2-20-’96  保定開始後 2年

[ この症例から学ぶこと ]
強度の下突顎の治しには下顎の回転が大きな治療上の武器となる。
ただし下顎の回転は全ての下突咬合の治療に利用できるわけではなく、骨格形や、path of closure、口唇との関係などの細かいチェックが必要である。条件が揃うと、下顎の回転に伴う後退によって、顔貌が大きく変わる。
気をつけなければならないことは、いわゆるcompetent lip であることが必要で、incompetent lip の場合はオーバージェットは改善できてもオトガイ部の軟組織携帯を崩し、また口唇の機能にも好ましい状態でなく治療後の歯列も不安定になりやすい。

顔貌

口腔内

模型

セファロ

パノラマ

患者情報 Classification of Occusion
咬合分類とコメント 偏位咬合 下突咬合 偏位顎 下突顎 
抜歯部位
     
7   
治療開始時年齢・性別 16歳9ヵ月 女性
動的治療期間 2年4ヵ月