研究大会報告
第42回与五沢矯正研究会報告
2017年4月にYogosawa Foundationが設立され、与五沢矯正研究会は次のステージヘの転換を始めることとなった。これまではディレクターをトップとしたピラミッド型だった組織をその形態自体から変えることは容易ではない。 これまで「与五沢矯正研究会」という名称で組織全体を表していたものが、それは年に一度の学術大会を表すこととなりYogosawa Foundationの事業のひとつとなった。 そして組織の運営体系も、研究会もそのひとつとする6つの事業に分けられた上でそれぞれに担当理事が置かれ、事業を進めていく形となった。このような大掛かりな変革には時間がかかり組織全体に浸透し円滑に機能するためにはより一層の時間がかかる。 しかしどれだけ時間をかけても良い訳ではなく、 同時にファンデーションとしてはYogosawa Edgewiseによって提供し得る「安心・安全な治療」を社会に対して発信し続けることも重要である。これだけのことを成し遂げていこうとすると、会員の結束・協力が何より重要となる。
同じ年に名古屋において開催された第39回与五沢矯正研究会大会(大会長: 金井鐘秀先生)は大会テーマを【もう一度研究会のあり方を考える】とし、年代間の距離感を少しでも縮めるべく(特に新しい会員に研究会の素晴らしさと役割を伝えるために)講演の内容や人選まで熟考され、オフィシャルではない懇親の場までそのために腐心されたものであった。
私はこの回で副会長を拝命し,それは後に自身が大会を計画することを意味していた。その後変化しつつあるこの組織を一会員としてどう感じるかを自身が計画する大会の方向性を決める柱としようと考えた。その上で改めて 39 回大会の試みを続けることとした。 それは 39 回大会からこの42 回大会までの間、 ハワイでの40回記念大会も挟んだ3年の時間の中で、 ファンデーションの行事にも参加しながら組織がどのように変化していくか、 ー自分なりに感じたところでは、未だ組織の状況が決して一枚岩ではなく、中心となって動かす側と主に受け取る側に距離のようなものがあると一個人として思ったからだった。ファンデーションの設立から5年目となった現在も、歯科矯正を取り巻く社会の環境は良くない方向へ転がっていることは明白で、 Yogosawa Foundationが発信すべきことはより重要になっているにもかかわらず、 まだその力を十分に発揮できる状況ではないように感じている。
そこで計画した大会の内容は, 本来研究会大会があるべき学術的なものではなかったが、 39回大会で投げかけられた課題をそのままにせず、 もう一度しっかり皆で向き合う区切りの会となるものにしたかった。講演では与五沢ディレクター に会員への想いを、研究会発足当時からのベテラン会員お二人(若松進治先生,本間研先生)には内からみた研究会の変遷を、グノーシス出版の小長谷一夫氏には書籍を通して長年研究会に外部から携わってこられて思うことをお話いただくよう依頼した。また、 大会資料としてファンデーション会員全員に対して 2019 年7月に事前アンケートを実施した。
2019年末から本格的に世界的蔓延を始めた新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により、 第42回与五沢矯正研究会福岡大会は開催を断念せざるを得なくなり、 初の大会中止となることを覚悟したが、 諸先生方のこ協力を得、 2020年 10月に軽井沢AmanKalから配信するオンライン講演会という形での実施が叶った。現地からの講演者は与五沢文夫ディレクター、小長谷一夫氏、 妹尾の3名とし、 若松•本間両先生にはこ準備いただいた講演内容を研究会のニューズレターへ掲載する形で承諾していただいた(アンケート結果の詳細も研究会のニューズレターに掲載した)。
会員アンケートの結果(回答数:47)として、
- Yogosawa Foundation会員と与五沢矯正研究会会員の混同
- Yogosawa Foundation, YESCo (Yogosawa Edgewise System Course), ORS (Orthodontic Rand System)などの複数の名称についての混乱
- 軽井沢アマンカルの個人利用方法の問知か不十分
- 第41回大会の前日セミナーと前夜祭以外での軽井沢アマンカルにおける行事参加メンバーの偏り
などが見受けられ、いまだ多くの迷いや勘違いがあり、うまくファンデーションという組織と関われていない会員が存在することが分かった。実際オンライン大会の後、自分に関われる(手伝える)ことがあれば手伝いたいという申し出も複数いただいた。
また、最も重要で早急な実施が必要な与五沢先生の症例資料の整理について会員の皆様から多数のアイデアを得た。そしてその多くはデータベース化・デジタルデータ化して、―検索可能できる状態にする、というものであった。これは皆が考える理想的な方法であるが、 実現するためには時間・労カ・経費と多くのものを必要とする。それでも集められた症例資料がとれほど重要な財産であるかを思えば、より多くの知恵を出し合って実現に向けて進めなければならない。
これまでは年に 1回の大会現地で顔を合わせることが主であった会員間の交流が, 昨今の社会状況(コロナ禍)で難しくなった一方、 オンラインという別の方法の実用性か実証された。また現在メールで配信している【AmanKalNewsletter】ももっと充実させ、 会員間のコミュニケーションをより活発化できればと考える。しかしそのためには、発信された内容に対するレスポンスかない限り交信は一方適行で、事は進んでいかない。
Yogosawa Foundationがより確固たる組織となり、 社会に力強く届くメッセージを発信していくためには会員の結束と協力が伺より不可欠で、会員の皆さんの力と知恵の結集を今一度お願いしたい。
第42回大会実行委員長 妹尾 葉子
- 日時
- 2020年10月25日(日)
- 会場
- 軽井沢アマンカル(会員は原則オンラインによる聴講)