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研究大会報告

第38回与五沢矯正研究会報告

2016年4月19日第38回与五沢矯正研究会が終了しました。昼食を食べ終え外に出るとモノリスタワーの向こうに福島の青空が広がっていました。スパリゾートハワイアンズの構造上、滞在中は外に出ることなく移動ができます。久しぶり外気に触れ太陽の匂いを感じました。2011年4月19日、第33回研究会の横浜の空も晴れていました。昼食後ベイブリッジと共にその青空を写真に収めました。5年の月日が経過しました。2011年3月11日に東日本を大きな地震が襲いとてつもない被害が生じ研究会の開催も危ぶまれました。5年後の今年、福島の地で研究会が無事開催されたことを感謝したいと思います。今年も研究会の直前にも大分熊本で地震が発生し甚大な被害が生じました。一日も早く地震が収束し被害に遭われた方が平安な生活に戻れることを願っています。
第34回2012年新潟、第35回2013年バリと研究会は回を重ね、第36回2014年軽井沢で大野会長が「成長発育期の上突咬合」のテーマで研究会を開催しました。与五沢先生が1991年にMONOGRAPHに表された「上顎前突の形-その理解と臨床応用について-」の論文をリバイバルし、セファロの捕まえ方を改めて学習しなおした大会となりました。
続く第37回2015年宇奈月は関会長のもと「成長期の上突咬合」のテーマで開催され与五沢先生にご講演いただき、与五沢先生が培ってきた矯正臨床のすべてをお話しいただきました。その際に第38回樋口会長の脳裏に「素質なのか環境なのか」というキーワードが焼き付けられました。そして第38回のテーマは「成長期の上突咬合~素質に迫る~」となりました。松田充博先生にはヘッドギアを使用した症例、青砥聖二先生には13才2ヵ月の女性の症例、林弘明先生には非抜歯で治療を行った2症例、 金山潔先生には3症例成長期の上突咬合の症例報告をしていただきました。その上で第37回においてすべてをお話しいただいた与五沢先生に再度ご登壇いただきご講演いただきました。 その際に「素質なのか環境なのか」という言葉は「基体なのか素因なのか」に代わり、観察している形は基体と素因の結果であること、基体におよぼす素因の影響量は予測不能であること、基体と素因の分離は現状では不可であることが示されました。さらに、咬合状態の分類のひとつである上突咬合という集団に対して、その成り立ちを説明する汎用性のある法則は見いだせないことが示されました。変容の傾向は「集団」としてとらえるのではなく、「個々」を多角的に注意深く観察し個別に変容のあり方を推測していく方法が適していることが示されました。また、正規分布の波がしらの少し先にいないと波には乗れません。その患者さんが全体的な正規分布のどのあたりにいるのか評価できないと治療もうまくいきません。分布を知ると言うことは色んな波、症例を数多く経験する事が必須です。波打ち際しか知らないサーファーにはなりたくないものです。最後に与五沢先生がおっしゃった「できること」「できないこと」「やったほうがいいこと」「やらないほうがいいこと」「やってはいけないこと」を考えながら臨床を行っていきたいと思います。

第38回副会長 星 隆夫

日時
2016年4月17日(日) 〜 19日(火)
会場
スパリゾートハワイアンズ
「ラピーダ」「プルメリア」
日程
前日セミナー
(17日)
「成長期上突咬合症例のセファロトレースと重ね合わせ」 澤端 喜明
第1日目
(18日)
症例提示

症例報告1 成長期に治療を行った上突咬合症例
青砥 聖二
症例報告2 成長期の上突咬合・偏位咬合・過蓋咬合症例 林 弘明
症例報告3 成長期の上突咬合~治療結果を顧みて~ 金山 潔
第2日目
(19日)
症例提示
症例報告4 一期治療でヘッドギアを使用した上突咬合の一治験例
松田 充博
講演
成長期の上突咬合~変容の軌跡を探る~
与五沢 文夫
討論
素質(基体)と二次的要素
与五沢 文夫 
大野 秀徳 
関 康弘 
樋口 育伸