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研究大会報告

第29回与五沢矯正研究会報告

第29回与五沢矯正研究会は、寺田会長のもと、富山全日空ホテルにて開催されました。
『下突咬合 -矯正単独治療の限界を探る-』を研究会のテーマとして、症例提示、症例報告、シンポジウム、すべてこのテーマに沿ったものをお願いいたしました。参加人数は例年よりやや少なめでしたが、寺田会長を初め参加された先生全員の熱意によって、そのことを全く感じさせない程の盛り上がりをみせました。

第29回副会長 齋藤 卓麻

日時
2007年4月16日(月)・17日(火)
会場
富山全日空ホテル
日程
第1日目
(16日)
症例提示 下突咬合の中でも、会員各自の経験の中で、矯正単独治療の限界に近いと考えられる症例の呈示をお願いいたしました。また同時に、症例報告とシンポジウムで発表される症例も呈示していただきました。テーマがかなり絞られていたため、若い先生は症例の選択に苦労されたと思います。参加された先生のご協力により矯正単独治療の限界に近いと考えられる下突咬合の症例の治療結果を数多く知ることが出来ました。それぞれの先生方が日頃考えている矯正治療の限界を少し広げることができたのではないかと思います。
研究報告([]内はディスカッサー)

「叢生を伴う下突咬合の一治療例」
河野 力
[山下 博史]
「外科的矯正治療を拒否された下突咬合・偏位咬合・下突顎症例」 廣島 邦泰
[林 弘明]
「下突咬合症例:外科的矯正治療のボーダーラインケース」 深町 博臣
[大野 秀徳]
「下顎は回転したのか? 下突咬合の治療を振り返って」 星 隆夫
[妹尾 葉子]
「術後経過症例の検証」 犬童 寛治
[金井 鐘秀]
第2日目
(17日)
シンポジウム(司会進行:齋藤 卓麻)

『下突咬合の治り方、治し方』~55症例を顧みて~
シンポジスト 森田 修一 八巻 正樹 澤田 美穂 竹山 雅規 中村 順一 寺田 康子 山田 秀樹

今回は、森田修一先生を中心とする新潟大学の先生と寺田康子先生、山田秀樹先生に、「下突咬合の治り方、治し方」~55症例を顧みて~ と題したシンポジウムを行っていただきました。新潟大学で矯正単独で治療を行った下突咬合症例の術前後の資料をもとに、下突咬合の治療を行うにあたり重要なポイントとなる下顎骨の回転をどう予測するか、回転に伴う側貌の変化について、また、下顎前歯の位置づけなどについて調査した結果について報告していただきました。発表の後のディスカッションの時間では、なごやかな雰囲気の中で下突咬合の治療についておおいに語り合うことができました。また最後に、与五沢先生がCTによる歯槽骨の状態の診断についてプレゼンテーションを行ってくださいました。
症例呈示、症例報告、シンポジウムを通じて、下突咬合の矯正単独治療の限界について改めて考えさせられ、学ぶことの多かった充実した二日間でした。