研究大会報告
第31回与五沢矯正研究会報告
与五沢矯正研究会も回を重ね、本年度は30と1回。斉藤卓麻会長のもと、30回大会で与五沢先生が次の課題として指し示した「適応」を理解するための一歩を踏み出しました。「適応」を考え続けるために今年度から長期観察症例報告を開始しました。本年度は30回記念大会で症例呈示された長期観察症例のなかから、会員が興味を示した4症例について報告をしていただきました。保定の安定性を踏まえた矯正治療のありかたについて、会員が考え始めるきっかけになったと思います。この長期観察症例報告については今後も継続していく予定です。シンポジウムでは第29回大会のシンポジウム「下突咬合の治り方、治し方」でキーポイントとして示された、下顎の回転に着目し成長発育中、矯正治療中の下顎の回転について各シンポジストの考え方が示されました。結論など到底、出るテーマではありませんが、我々が回転して欲しい下顎は回転せず、回転して欲しくない下顎が回転する傾向があることは共通の認識となったと思います。また、下顎の回転をトピックスとしたことで、セファロの幾何学的な理解や成長発育の読みの大切さが改めて浮き彫りになった2日間でした。
今回から、アフィリエイト会員やオープン参加の制度が充実し、会員外の先生や、矯正に関連する技工士さんもお見えになり、会の熱気を肌で感じていたようです。会員の諸先生のまわりに研究会に興味をお持ちのお友達がいらっしゃいましたら、一度参加して研究会の熱気を感じていただけますようご勧誘いただけましたら幸いです。
来年また、北九州市門司港ホテルで皆様にお会いできることを楽しみにしています。
第31回副会長 星 隆夫
- 日時
- 2009年4月20日(月)・21日(火)
- 会場
- 東京シェラトン都ホテル(東京都港区)
第1日目 (20日) |
シンポジウム(司会進行:星 隆夫) 「High angle caseでみられる下顎の時計方向の回転は生理的な方向の変化なのか?」 |
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1 High angle caseについての文献的考察 | 竹山 雅規 中村 順一 |
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2 成人期矯正未治療者の下顎の回転 | 池 元太郎 | ||
3 発育期矯正未治療者の下顎の回転 | 星 隆夫 | ||
4 下顎の回転について | 金井 鐘秀 | ||
5 ハイアングルケース治験例の治療法(使用装置)、 抜歯部位についての一考察 | 和島 武毅 | ||
6 下顎の第二小臼歯抜歯は下顎の回転を防ぐか? | 有松 稔晃 | ||
7 High angle caseについて考える | 森田 修一 | ||
第2日目 (21日) |
症例報告([]内はディスカッサー) 1 上突咬合・開咬合症例の一治験例 |
稲見 佳大 [廣島 邦泰] |
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2 両側側切歯の矮小歯を伴う上突咬合症例と中立咬合症例 | 長沼 一雄 [鬼久保 平] |
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3 治療方針を変更した成人の上突咬合・下後退顎 | 晝間 康明 [関 康弘] |
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4 上突咬合・下後退顎・叢生歯列弓症例 FMA46度でも下顎は回転しなかった症例 | 澤田 美穂 [笹川 美也子] |
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長期観察症例報告([]内はディスカッサー) 1 動的治療終了後の晩期成長により偏位咬合となり、 再治療を行った症例 |
松田 充博 夕田 勉 [深町 博臣] |
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2 進行性下顎骨後退の認められたII級症例の長期経過 ~保定終了後10年を経過して~ | 大野 秀徳 澤 秀一郎 [石井 一裕] |
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3 非抜歯で治療した上突咬合・過蓋咬合症例 | 吉澤 真由美 [妹尾 葉子] |
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4 保定中に歯肉退縮が改善された成人症例 | 齋藤 卓麻 [北園 俊司] |