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研究大会報告

第37回与五沢矯正研究会報告

平成27年4月19日、20日の両日、富山県宇奈月温泉におきまして、第37回与五沢矯正研究会が開催されました。記念すべき北陸新幹線の開通の年に、宇奈月温泉で開催されたことは、参加された皆さんの後々の記憶に留まる大会となったのではないでしょうか。
さて、今回は、矯正臨床家にとっては、最も技量が計られるカテゴリーの一つである「成長期の上突咬合」がテーマとして取り上げられました。成長期の上突咬合症例の治験例では多様な変化・反応を多く経験するところです。生体に備わる変化と術者によりもたらされた反応、両者の変化の融合が口腔内に具現化されたものが治療結果になるのですが、単純な足し算や引き算ではないがため、その因果関係をそれぞれの症例ごとに解き明かすのは、簡単な作業ではなく、これまでの研究会で繰り返し論じられてきた、構造論、有機体論そして変容という概念の詳細な理解が必要であることを改めて確認する研究会であったと思います。発表者の皆さんは、それぞれの症例を通じ、「詳細な理解」のさらなる理解を意図し、創意工夫のされた切り口で因果関係の解明に取り組んでいらっしゃいました。主に構造論からであったり、変容を深く考えたりと様々ではありましたが、同じものが二つ無い生体を相手にしている以上、一律的な法則を見いだすのは不可能と考えるなら、一つの症例に向かい合ったとき、それを解き明かすための共通認識の理解の成熟度が、会の、会員の進化といえるのではないかと思います。まさにその進化を感じることのできた2日間であったと思います。
また、今回は新しい試みとして矯正歯科材料業者の方々にも参加していただきました。各社皆さん好意的で、今後はより多くの参加が期待されます。このような時代・社会背景に則した、マイナーチェンジは今後も必要になると考えますが、変化してはいけない確固たるものがあることも忘れてはいけません。
次回38回大会は、樋口会長のもと、福島にて行われます。復興する福島で皆様と再会できることを楽しみにしています。

第37回副会長 金井 鐘秀

日時
2015年4月19日(日) 〜 21日(火)
会場
黒部市宇奈月国際会館「セレネ」
シンポジウム「成長期の上突咬合」
日程
前日セミナー
(19日)
症例の提示方法を学ぶ ~成長のあるケースでセファロの重ね合わせ~ 澤端 喜明
第1日目
(20日)
症例提示
講演 成長期の上突咬合 ~それらの治療に関わる現在の私の見解~ 与五沢 文夫
研究報告 成長期の上突咬合2症例を顧みて 笹川 美也子
第2日目
(21日)
研究報告 Arnett/Gunson Philosophyにもとづく High Angle Class II surgeryにおける後戻り(下顎頭吸収)予防法 石井 一裕
成長期の上突咬合・偏位咬合の一治験例 新澤 牧子
成長期のアングルII級、叢生歯列弓を非抜歯にて治療した一治験例 小池 浩夫
異なる治療方法を用いた、成長期の上突咬合の2症例について 妹尾 葉子