研究大会報告
第45回与五沢矯正研究会報告
桜満開の軽井沢Yogosawa memorial hallのこけら落としとして開催されました。多数の会員の先生方に足を運んでいただきおかげさまで盛会裏に全日程を終えることができ、正直安堵しております。やはりface-to-faceの大会はいいですよね。丹田薫副会長、サポートとても心強かったです。そしてお手伝いいただいた方々に心より御礼申し上げます。45回大会は節目では有りますが、私の中での記念大会は40回ハワイ大会で終結していました。与五沢先生が矯正臨床の幕を下され、講演も最後にするということで元よりお祭りムードはありませんでした。45回大会は、これからFoundation 会員一人ひとりがこの会をどう捉え、どう行動し、どう支え発展させていくかという非常に重要な目的にも通じるという思いを込めて「Yogosawa Foundationにおける概念」を大きなテーマに掲げました。矯正治療の主体は生体にあり動的治療後を考えるにあたりキーワードとなる[適応]を常に意識して臨床に望む重要性とこれからの継続して取り組むべき課題という意味で臨床テーマを「有機体として症例を捉える」としました。それを踏まえ会員発表については「私が経験した成長期の難症例」とし、矯正治療のリアリティを皆で共有し、ディスカッションできる場となればとてもおもしろいのではないかと考えました。ともすれば尻込みしたくなる症例発表、症例呈示にご協力いただいた会員の先生にあらためまして御礼申し上げます。
与五沢先生肝入りの懇親会ではTame Yogosawaの団結力に感服しました。もの凄いパワーを感じました。会員の方々からはたくさんの差し入れをいただき大会に花を添えてくれました。皆で作り上げたパーティーはとても印象深いものになりました。まさにハレの日の食事だったと思います。
先生にはこれまでの矯正人生を振り返り、最終講演をしていただきました。感慨深いものがありました。今でも目を閉じるとあの光景が浮かんできます。記憶に残る大会だったと何人かの先生に感想をいただきました。先生が第一線を退かれたあとの研究会のこれからがどうなってしまうのか心配は拭えませんが、これからは一層会員個の活動とまとまりが求められる事になるかと思います。
思い起こせば与五沢先生に始めてお会いしたのは2000年の箱根の講習会でした。申し込みから4年待っての受講でした。当時2,3年待ちは当たり前。卒業後既に12年、開業してから4年経っていました。大学時代はベッグ法しか行えず、いわゆるスタンダードな治療法であるエッジワイズテクニックを知る為に医局員はこぞって外部の研修会に参加し情報収集、持ち帰って情報交換をしていたという時代でした。井の中の蛙大海を知らずとはまさにこのこと。矯正の世界には実にさまざまなテクニックがあり、そのどれもが優位性を訴えており、驚きと刺激を受けながらも、その中でいったいどれが本物なのか、自分だけが頼りとなる選択眼が求められました。そんな中での箱根コース受講でした。講義はもちろん、プライヤーの握り方、ワイヤーベンディング、鑞付け、先生の一挙手一投足が新鮮で刺激的だったことを思い出します。先生も若かったし、私も若かったです。今思えば、大分遠回りしたなという感想です。よく言えばよそを早いうちに見たことで比較検討ができたというところでしょうか。卒業後ある程度臨床経験を積んだ先生で早いうちにYogosawa Edgewise Systemに出会えた先生は限りある貴重な時間を無駄にすることなく自身の矯正人生の礎を築くことができて幸せだと思います。
早いもので還暦を迎える年齢となりました。ベテラン会員諸氏が多い研究会ではまだまだ若輩の部類かもしれませんが、矯正臨床に没頭できる有限の時間はそれほど長くはありません。経験もバックグラウンドも異なる人たちがこの会に籍を置く意味は、生業としてやるからにはその職の王道を歩みたいという気持ちが根底に有るからなんだろうと思います。与五沢先生、長い間私たちをお導きくださいまして誠にありがとうございました。Directorであることに変わりはありませんので、引き続き会の進むべき道を照らし見守っていただければありがたく思います。節目の大会を任せていただいたことを光栄に思うと同時に、45回大会があらたなステージに向かう起点になる大会であったのであればたいへんうれしく思います。
第45回大会長 樋口 育伸
- 日時
- 2023年4月16日(日)〜 18日(火)
- 会場
- Yogosawa memorial hall
AmanKal
4月16日(日) | 入会審査 | ||
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前夜祭 | |||
4月17日(月) | 症例提示 | ||
研究報告1 成長発育を読み切れなかった症例 |
桜田 明宏 | ||
研究報告2 下顎小臼歯抜歯に苦慮した過蓋咬合症例 |
宮下 勝志 | ||
特別講演 リハビリテーション理論に基づく多面的治療(MMT) |
永田和裕 先生 | ||
4月18日(火) | 研究報告3 私が経験した成長期Ⅱ級進行性下顎頭吸収症例 |
山口 賢 | |
研究報告4 トランスファー患者の動的治療ゴールについて考える |
宇津 照久 | ||
研究報告5 意図せぬ結果に終わった症例を振り返って |
有松 稔晃 | ||
講演 会員へのメッセージ |
与五沢文夫 |