混合歯列期における下突咬合、第一段階治療、第二段階治療、非抜歯で終えた症例
治療担当者:与五沢 文夫 よごさわ歯科矯正
治療前 Before Treatment
顔貌
口腔内
治療後 After Treatment
顔貌
口腔内
治療前 Before Treatment
治療方針
混合歯列期における下突咬合、第一段階治療で上顎を拡大し、第二段階治療において非抜歯で終えた症例、第一段階の治療は、乳歯早期喪失により発育が取り残こされたと判断し、相対的に狭い上顎の歯槽骨部分の拡大をはかり前歯の被蓋関係を改善することを主とした。
下顎の歯列の状態や骨格形などから、第二段階の治療では非抜歯とすることを意識して第一段階の治療を組み立てた。
永久歯列期において最終判断をするが、この症例では非抜歯を通した。咬合状態はほぼ満足すべき状態であるが、口唇周辺の軟組織の状況からすると抜歯・非抜歯のボーダーラインケースではある。
模型上では1級の下突咬合であるが、上顎のアーチが下顎に比べて著しく小さい。
欠損乳歯が多く、とくに上顎では歯列崩壊が著しい(3)。Path of closure で下顎はやや前方へ誘導される。骨格形においては咬合状態にみられるほど不調和ではない(5)。
乳歯早期喪失の影響が、強く形として現れた結果と判断された。
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
治療後 After Treatment
顔貌
口腔内
模型
パノラマ
治療前後の比較(セファロの重ね合わせ)
青ライン 初診時 3-10-’79
黄ライン 第1段階治療終了時 6-10-’80
黒ライン 第2段階治療開始時 8-31-’81
赤ライン 治療終了時 10-11-’83
緑ライン 保定終了時 9-7-’85
治療経過 Progress
第一段階治療は上顎のみに装置装着をおこなった。顎間あるいは顎外の固定源は使っていない(6)。
臼歯関係はⅠ級に仕上げ、前歯の被蓋の改善と永久歯萌出のためのスペースを作った(7)。
その状態を暫く維持し、装置除去をおこなった(8)。
犬歯萌出が始まったのでフルブラケットによる治療を開始した。
図10は保定終了時の状態。
4-10-’79 第一段階装置装着時 8歳8ヵ月
4-8-’80 治療経過 9歳8ヵ月
6-10-’80 第一段階治療終了時 9歳10ヵ月
10-28-’81 第二段階装置装着時 11歳2ヵ月
9-7-’85 保定終了時 15歳1ヵ月
保定 After Retention or During Retention
口腔内
患者情報
咬合分類とコメント | 下突咬合 過蓋咬合 非抜歯 |
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治療開始時年齢・性別 | 8歳7ヵ月 女性 |
動的治療期間 | 1st Phase trt. 1年1ヵ月 2nd Phase trt. 1年9ヵ月 |