上下顎前歯を後退させることにより側貌を改善した上突咬合、開咬合症例
治療担当者:青砥 聖二 あおと歯科矯正
治療前 Before Treatment
顔貌
口腔内
治療後 After Treatment
顔貌
口腔内
治療前 Before Treatment
治療方針
主訴は上の前歯が出ていること。治療目標として上突咬合、開咬合、叢生歯列弓および側貌を改善すること。顎顔面としては奥行きが少なく、下顔面高が高いことが特徴で、口唇閉鎖時に口腔周囲筋の緊張が著しい。以上のことより、咬合および側貌を改善するために、十分に上顎前歯を後退させる必要がり、上下顎左右側第一小臼歯を抜歯し、治療することとした。
また加強固定としてconsolidation時にHead Gearを併用することとした。
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
治療後 After Treatment
治療経過 概要
患者さんは上の前歯が出ていることを主訴に来院。咬合および側貌を改善するために上下顎第一小臼歯を抜歯して治療を行った。上下顎前歯の十分な後退により口唇閉鎖時の口腔周囲筋の緊張が軽減し調和の取れた側貌が得られた。大臼歯関係は主にⅡ級ゴムにより改善した。
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
治療前後の比較(セファロの重ね合わせ)
セファロの重ね合わせ-1
治療前後のS−SNでの重ね合わせ(黒線:24歳10ヵ月、赤線:27歳8ヵ月、緑線:29歳11ヵ月)
セファロの重ね合わせ-2
治療前後の上下顎骨および軟組織の重ね合わせ(黒線:24歳10ヵ月、赤線:27歳8ヵ月、緑線:29歳11ヵ月)
治療結果
上顎前歯は挺出しながら舌側に移動し、上顎大臼歯はmaxmum anchorageで近心移動量は最小限に抑えられている。下顎前歯は圧下しながら舌側に移動し、下顎大臼歯はわずかに挺出しながら近心移動している。これらの変化により、Ⅱ級の大臼歯関係、OverjetおよびOverbiteが改善した。治療中に下顎骨は時計方向に回転したが、主たる要因として長期間使用したⅡ級ゴムが影響している。保定中に下顎骨は再び反時計方向へ回転した。治療により開大した下顎下縁平面角は保定終了時には治療前の状態に近づいている。
治療経過 Progress
上下顎にスタンダード エッジワイズ 装置を装着し、.012″ SS wireにてレベリング開始。また、筋機能療法(MFT)を併用。
上下顎に.014″ SS wireを装着し,パワーチェーンにて上顎犬歯の遠心移動を開始。
上下顎に.016″ SS wireを装着し、上顎犬歯の遠心移動を続行。左側前歯部被蓋関係が浅くなり、垂直ゴム(左側)を1ヵ月使用。MFTは続けている。
アンカレッジを強固にすること、バーティカルなコントロールをすることを目的に上下顎第二大臼歯のコントロール開始。上下顎に.016″ SS wireを装着。大臼歯関係の改善のためにⅡ級ゴムを使用。患者さんが正中離開を気にしたため、上顎前歯を8 tie。
上下顎に.016″ SS wireを装着している。また加強固定としてHead Gearの使用を開始(5ヵ月)。
上顎に.018″X.025″、下顎に.017″X.025″ SS wireにV-loopを組み込み装着し、consolidation(上顎3ヵ月,下顎2ヵ月)を開始。Ⅱ級ゴムを使用は継続している。
上下顎に.016″ SS wireを装着。直前に撮影したパノラマX線写真から歯根の平行性を確認し、ブラケットポジションを一部修正、レベリングを行っている。Ⅱ級ゴムは継続。
上顎に.018″X.025″、下顎に.017″X.025″のideal archを装着し仕上げ(11ヵ月)を開始。垂直ゴムの開始、Ⅱ級ゴム(右側)の使用。
上顎に.018″X.025″のideal arch、下顎に.016″ SS wireを装着した。咬合の緊密化を図るため、再度ブラケットポジションを修正した。
上顎に.018″×.025″ SS wireのideal arch、下顎は.016″ SS wireを装着。緊密な咬合を獲得するために垂直ゴムとⅡ級ゴム(右側)を使用。
保定 After Retention or During Retention
スタンダード エッジワイズ 装置を撤去後26ヵ月で保定装置を撤去した。
大きな変化は認められない。
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
患者情報
咬合分類とコメント | 上突咬合 開咬合 下後退顎 叢生歯列弓 両突歯列 | ||||
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抜歯部位 |
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治療開始時年齢・性別 | 24歳8ヵ月 女性 | ||||
動的治療期間 | 2年7ヵ月 |