開口障害を伴う進行性開咬合症例
治療担当者:深町 博臣 ふかまち歯科矯正
治療前 Before Treatment
顔貌
口腔内
治療後 After Treatment
顔貌
口腔内
治療前 Before Treatment
治療方針
開口障害に対する積極的治療は行わず、矯正治療によるスプリント効果を期待して矯正治療を開始した。上顎は両側4番、下顎は右側5番と左側Eの抜歯を選択した(下顎左側5番は先天欠如)。また、下顎両側7番歯根が埋伏している8番によって吸収されていたため、下顎両側7番の抜歯を選択し、下顎両側8番を配列する方針とした。さらに、半年後に矯正治療の反応を確認し、上顎7番あるいは8番の追加抜歯を行う方針とし、結果的に両側7番の抜歯を追加した。なお、開口障害があったことと、下顎両側7番歯根吸収の状況を確認するためCT画像診断を依頼したところ、左側顎関節部のperforationが疑われた。
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
治療後 After Treatment
治療経過 概要
通法通り矯正治療を開始した。歯列は徐々に整っていったが、治療開始2年を過ぎても顆頭安定位が確認できず、中心咬合位を定めることができなかったため、日本歯科大学新潟校小出馨教授を紹介した。触診、MRI、CT検査等を行い、非復位性関節円板前方転位の陳旧例との診断のもと、関節円板の復位と関節円板上部と関節窩との癒着を剥がすことを目的としてマニュピレーションを行った。その直後に顎位が安定し、患者さんは、開口障害となってから感じていた不快感が無くなった、と喜んだ。その後は中心咬合位が定まり、問題なく動的矯正治療を終了することができた。
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
治療前後の比較(セファロの重ね合わせ)
治療経過 Progress
紹介元歯科医院の資料から、14才時(1995年7月)には歯並びと噛み合わせに大きな問題はない状態に見える。
26才時(2007年7月)において歯並びや噛み合わせが変化している。
29才時(当院初診資料採取時)には前歯が全く噛み合わない状態(開咬合)となっていることがわかる。
問診では、2008年秋に、「歯ぎしり」や「食いしばり」の自覚症状がある中で突然口が開かなくなり(開口障害)、その後、徐々に前歯が噛めない状態(開咬合)になったとのこと。
保定中
保定 After Retention or During Retention
保定治療に移行して半年経過後、起床時に顎角部の違和感を訴えたが、スプリント装着により症状は改善した。現在保定後2年を経過したが、大きな問題は生じていない。
患者情報
咬合分類とコメント | 開咬合 偏位咬合 叢生歯列弓 左側Angle Class Ⅱ
紹介元歯科医院の資料から、14才時(1995年7月)には歯並びと噛み合わせに大きな問題はない状態に見えるが、26才時(2007年7月)において歯並びや噛み合わせが変化しており、29才時(当院初診資料採取時)には前歯が全く噛み合わない状態(開咬合)となっていることがわかる。問診では、2008年秋に、「歯ぎしり」や「食いしばり」の自覚症状がある中で突然口が開かなくなり(開口障害)、その後、徐々に前歯が噛めない状態(開咬合)になったとのこと。 |
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抜歯部位 |
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治療開始時年齢・性別 | 29歳7ヵ月 | ||||
動的治療期間 | 4年5ヵ月 |