左側下顎第一大臼歯遠心根にヘミセクションがなされていた両突歯列症例
治療担当者:池 元太郎 池矯正歯科医院
治療前 Before Treatment
顔貌
口腔内
治療後 After Treatment
顔貌
口腔内
治療前 Before Treatment
治療方針
前歯の歯並びが悪いことを主訴に来院された。口腔内所見では、上下顎前歯に叢生が認められ、臼歯関係・犬歯関係はAngle I級、左側下顎大臼歯遠心根にはヘミセクションがなされていた。顔貌所見では、口唇閉鎖時の口唇の突出感、緊張感が認められた。
叢生の改善と口唇の突出感、緊張感を改善するため、上下顎両側第一小臼歯を抜歯し可及的に前歯の後退をはかるべき症例であるが、下顎左側についてはすでにヘミセクションにより遠心根が抜歯されているため、その抜歯空隙を利用することとし、治療期間の短縮を目的としミニスクリューによる固定の加強を行うこととした。
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
治療後 After Treatment
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
治療前後の比較(セファロの重ね合わせ)
黒線は初診時(30Y4M)、赤線は動的治療終了時(32Y11M)、緑線は保定終了時(34Y9M)で、
左図は全体の、右図は上下顎それぞれと側貌の重ね合わせを示す。
治療結果
上下顎前歯が後退し口唇の突出感、緊張感が改善された。ミニスクリューを利用することにより、
治療期間の延長を回避することが出来た。
治療経過 Progress
上下顎に0.018″ スタンダード エッジワイズ 装置を装着し,0.012″,0.014″,0.016″ round wire にて レベリング (3ヵ月)後,パワーチェインを使用して,上下顎犬歯の遠心移動を行った(14ヵ月)。
Vloopを組み込んだ rectangular wire (上顎:0.018″×0.025″,下顎:0.017″×0.025″)による上下顎の前歯臼歯一体化(7ヵ月)後,ブラケット・ポジションを変更して0.016″ round wire にて leveling (1ヵ月)してから,ideal arch (上顎:0.018″×0.025″,下顎:0.017″×0.025″)にて仕上げを行った(4ヵ月)。
上下顎に0.018”x0.025” スタンダード エッジワイズ 装置を装着。
ステンレススチールの0.012″ round wire にて レベリング開始。
ステンレススチールの0.016″ round wire を装着し、 FMリングレットにて犬歯の牽引を開始。
下顎左側は第二大臼歯遠心頬側部に設置したミニスクリューより牽引。
犬歯の動きを観察、下顎右側犬歯の牽引をコイルスプリングに変更。
犬歯の牽引を継続。
犬歯の牽引を継続。
Vloopを組み込んだステンレススチール rectangular wire (上顎:0.018″×0.025″,下顎:0.017″×0.025″)により上下顎前歯の後退を開始。前歯臼歯一体化の期間中7ヵ月間III級ゴムを使用。
一体化終了後、ブラケットポジションを修正し、ステンレススチール0.016”round wireにて再レべリング。
ステンレススチールのideal arch (上顎:0.018″×0.025″,下顎:0.017″×0.025″)にて仕上げ開始。
保定 After Retention or During Retention
顔貌
口腔内
模型
セファロ
パノラマ
患者情報
咬合分類とコメント | 中立咬合 下突顎 両突歯列 | ||||
---|---|---|---|---|---|
抜歯部位 |
|
||||
治療開始時年齢・性別 | 30歳5ヵ月 女性 | ||||
動的治療期間 | 29ヵ月 |