スタンダードエッジワイズ症例
【症例6】出っ歯・歯並び・突き出た口元の改善
咬み合わせの調整で美しいあごの形を実現。落ち着いた上品な口元に
治療者 | 星 隆夫 星歯科矯正 |
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咬合分類 | でこぼこの歯並び(叢生歯列弓)出っ歯(上突咬合) 前歯が閉じない(開咬合) |
治療開始時年齢・性別 | 29歳11ヵ月・女性 |
動的治療期間 | 1年7ヵ月 |
抜歯 | 有 |
患者さんの症状 | この患者さんには以下の3つの症状が見られました。 ・上の前歯が突き出している、いわゆる「出っ歯」 ・著しく乱れたでこぼこの歯並び ・口を閉じた状態でも上下の前歯が咬み合わず、開いたままの状態「開咬」 この患者さんは前歯の間から舌を前に出す癖があり、それが開咬の原因になっているため、矯正治療とあわせて舌のトレーニングも行いました。 |
■ここがポイント!
治療後の口元・横顔をご覧ください。
きれいなあごの形、落ち着いた印象の上品な口元になっていることがおわかりいただけると思います。
治療前は口を閉じる時に力が入っていたため、あごにしわが寄っていますが、治療後は力を抜いた状態で自然に閉じられるようになり、落ち着いた印象を引き出しています。
咬み合わせ、歯並びもきれいに改善しています。
■治療前 Before Treatment
- 上の前歯が前方に出ているため自然に唇を閉じることが難しく、力が入ってあごにしわが寄っています。
- 同じ理由で、口元全体が突き出しているように見えています。
口腔内
- 口を閉じた状態(奥歯は咬み合っている)でも、前歯が咬み合わず開いたままの状態です。開咬(オープンバイト)といわれる症状で、常に上下の前歯が開いているため前歯で食べ物を咬み切るのが難しいのが大きな問題です。
- 上下前歯の歯並びが大きく乱れています。
■治療経過 Progress
治療開始時
歯並びを整え、突き出た口元を後ろに下げるスペースを確保するため、抜歯を行いました。
4カ月経過時
次第に歯が移動し、抜歯したスペースが狭まってきているのがおわかりいただけると思います。
大きく開いたままだった上下の歯が、少しずつ近づいています。
ここから咬み合わせ角度を調整するため、ゴムを使って下あごを引き上げる力をかけていきます(緑の矢印)。
18カ月経過時
歯が移動して抜歯したスペースがなくなり、きちんと歯が並んでいるのがご覧いただけます。
歯並び・咬み合わせともきれいに改善し、治療が終わりに近づいています。
■治療後 After Treatment
顔貌
- 力を抜いた状態で自然に閉じられるようになりました。力んだ時に出るしわがなくなり、落ち着いた印象を引き出しています。
- きれいなあごの形、上品な口元になっていることがおわかりいただけると思います。前に突き出していた口元は後ろに下がり、美しくバランスがとれています。
口腔内
- 出っ歯、開咬(オープンバイト)、歯並びともきれいに改善されています。正中がしっかりと合っていること、奥歯まで咬み合っていることにもご注目ください。
- 抜歯したスペースに歯が移動し、でこぼこが改善されたきれいな歯並びになりました。抜歯の隙間は全く残っていません。
総括
動的治療期間:1年7ヵ月
治療前後の頭部X線規格写真(セファロ)を比較してみましょう。
治療前:あごの骨の大きさに対して歯のサイズが大きく、口の中に収まりきれなかったために歯並びの乱れが起きていました。
治療後:歯の本数を減らしたことで、歯が口の中にきれいに収まった様子がおわかりいただけると思います。前方に突き出していた前歯は真っ直ぐになり、開いたままだった上下前歯もしっかり咬み合うようになりました。
この患者さんの場合、抜歯をすることできれいな歯並びとバランスのとれた美しい口元を実現することができました。
抜歯をせずに治療を行うと、歯並びだけはきれいになっても、口の中に歯が収まりきれず横や前に広がってしまいます。そのため口元が前に出てしまうなど満足いかない結果になる可能性があります。
矯正治療に抜歯が必要となる理由をおわかりいただけたでしょうか。
治療前・治療後のX線写真を重ねてトレースしたもの(点線が治療後)