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スタンダードエッジワイズ症例

【症例5】下あごの成長で上突咬合を治療
成長のスパートを利用することが鍵!

治療者 樋口 育伸 ひぐち矯正歯科医院
咬合分類 出っ歯(上突咬合、上突歯列)でこぼこ(叢生歯列弓)
治療開始時年齢・性別 14歳1ヵ月・男性
動的治療期間 2年9ヵ月
抜歯
患者さんの症状 初診時の主訴は前歯の突出と歯のでこぼこでした。年齢的にまだまだ骨格の成長が期待できる状況でもあり、特に下あごの成長が見込めるタイミングで治療をスタートしました。

■ここがポイント!

症例治療前
症例
症例治療後

治療開始時14歳だった患者さんは2年9ヵ月で動的治療を終えました。
ちょうど成長著しい時期でもあり、歯のでこぼこ(叢生)の治療はもちろん、出っ歯(上突咬合)を治療するにはとても良いタイミングでした。

■治療前 Before Treatment

症例
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症例
  1. 鼻とあごを結んだラインより少し口が出ています。
  2. 口元が突出していることがわかります。
症例
症例
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  1. あごや唇は自然な状態で力んだりすることなく閉じられています。
  2. 前歯は突出しています。
症例
症例
症例
症例
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  1. 歯が斜めに生えています。
  2. 上下ともに歯の並びがでこぼこです。

ここがポイント

頭部X線規格写真(セファロ)診断の結果

下顎骨の形態的特徴と周囲組織とのバランスから下顎骨の後方部分の成長が起きることで下あごが前方へも成長・移動していくことができると期待できました。
これにより出っ歯(上突咬合)を改善できる可能性が大きくなります。
これはこの治療の大きなポイントです。これを見極めることができるかどうかで診断は大きく変わります。

症例

■治療後 After Treatment

症例
症例
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  1. 口元が後退したことがわかります。
  2. 口元の突出感が弱まり、きれいになりました。
症例
症例
症例
症例
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  1. 斜めに生えていた歯は真っ直ぐになり、正中も合っています。
  2. 奥歯の咬み合わせもしっかり合っています。
  3. 上下の歯のでこぼこ(叢生)は大変きれいになっています。

■保定 After Retention or During Retention

症例
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症例
症例
症例
症例
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治療後、後戻り防止のために床タイプの保定装置を2年6ヵ月使用しました。
歯のでこぼこが(叢生)強い場合、後戻りが心配されますが、大変安定しており、咬み合わせはより緊密になっています。
治療終了直後よりもよりきれいな仕上がりになっています。

総括

下あごの成長を利用して効果的に治療を進められたことが今回の治療ポイントでした。これはセファロ(頭部X線規格写真)から下あごの今後の成長の優位性を見抜くことができるかどうかが鍵になります。これを見抜き、利用することで、より良い治療結果を得ることができました。
発育という生体の作用を利用し、生体本来の力と共同作業をすることで、良好な結果を得ることができた症例です。

歯科矯正医の見立てはこんなにも重要です!
頭部X線規格写真(セファロ)から今後の成長展開を見抜けなければ、違った治療方針になってしまったでしょう。もしかすると非効率で効果的ではない治療方針になっていたかもしれません。これを見抜き、効果的に利用することができるかどうかは、歯科矯正医の経験の違いによるわけですが、十分に訓練を積んだ歯科矯正医を選ばなくてはならない理由がこういったところにも表れています。
ただ”歯を並べて終わり”ではなく、骨格の状態や成長を考慮して治療を行うことで、患者さんの生涯にわたる良好な口腔環境の整備につながると考えています。