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スタンダードエッジワイズ症例

【症例4】歯列崩壊状態からの矯正治療
乳歯が早期に抜けてしまったら要注意

治療者 与五沢文夫 よごさわ歯科矯正
咬合分類 深い咬み合わせ(過蓋咬合)受け口( 下突咬合)
治療開始時年齢・性別 8歳7ヵ月 女性
動的治療期間 第1期治療 1年1ヵ月 第2期治療 1年9ヵ月
抜歯 非抜歯
患者さんの症状 歯列混合期において、上あごが小さく下あごが出て「受け口」の状態であり、また、咬み合わせが通常よりも深い状態でした。

■ここがポイント!

症例治療前
症例
症例治療後

欠損した乳歯が多かったため、上あごが十分に成長しておらず、幅 が狭い上に、上下顎の成長バランスが悪く、下あごが突出した状態になっています。

第1期治療、第2期治療を通じて成長に合わせた治療を行い、受け口や口元の位置などが見事に改善しました。口唇がやや突出気味ではあるので、患者さんの希望次第では第一小臼歯の抜歯を行っても良かったかもしれません。

■治療前 Before Treatment

症例
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下唇が突出しています。

症例
症例
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下の前歯が前に出ており、受け口の状態です。
また、上の前歯に深く覆い被さっており、上の前歯がわずかしか見えません。

症例
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(左図)上あごと下あごを比べると、上あごのアーチが小さいことがわかります。乳歯早期喪失により上あごの発育が取り残されたために、下あごが出てしまい、受け口になってしまったと考えられます。

(右図)パノラマ画像からも、歯列が大きく乱れていることがわかります。

早期喪失とは

乳歯早期喪失とは、乳歯が自然に抜けるよりも前に、虫歯など何らかの事情で乳歯が抜けてしまうことです。そのまま長時間放置された場合、隙間を埋めようとして隣の歯が移動し、永久歯の生える隙間がなくなってしまいます。今回のケースでは、特に上あごの欠損乳歯が多く、歯列崩壊が著しい状態であり、上あごの発達にも悪影響を与えたと判断しました。

■治療経過 Progress

第1期治療

症例
症例
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第一段階装置装着時 8歳8ヵ月

第一段階治療は上あごのみに装置装着を行いました。
顎間あるいは顎外の固定源(チンキャップなど)は使用していません。

症例
症例
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治療経過 9歳8ヵ月

奥歯は正常な位置になるよう改善し、前歯については逆被蓋の改善と永久歯萌出のためのスペースを作り、永臼歯期の治療(第2期治療)のための準備を行いました。

症例
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第一段階治療終了時 9歳10ヵ月

すでに受け口も改善しており、正中もそろった状態です。

第2期治療

症例
症例
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第二段階装置装着時 11歳2ヵ月

犬歯萌出が始まった時点でフルブラケットによる治療を開始しました。

症例
症例
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保定終了時 15歳1ヵ月

歯並びや咬み合わせはもちろん、上下のあごのサイズのバランスもとれ、美しく仕上がっています。

■治療後 After Treatment

症例
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初診時の画像と比べてみると全く同じ人物の口元とは思えないほど改善しています。下あごが後退し、上あごが前に出て、正しい位置関係になっています。また、咬み合わせの深さも改善し、横顔も大変きれいになっています。

上あごと下あごの大きさの変化

症例

総括

初診時の歯並びの状態は歯列が崩壊する状況でした。
しかし、あごの成長も含めた適切な治療計画で、無事に歯列も顔貌も美しく整えることができました。

症例初診時
症例治療終了時

今回の治療のように、患者さんからは歯並びの問題に見えることも、歯科矯正医から見るとあごの大きさや位置の問題なども含まれていることが多く、容易ではないことがあります。患者さんにとっても(お子さんであれば尚のこと)矯正装置を着けて過ごすのは大変だと感じることもあると思いますが、矯正治療が完了した時の喜びは大きいものがあります。より良い結果を得るために、患者さんとご家族の皆様のご協力をいただきながら、私たちは歯科矯正医として最善を尽くしたいと思っています。

お子さんの第1期治療・第2期治療について
お子さんの矯正治療でよくお問合せいただくのは「いつ始めるのが良いのか」ということです。それぞれ症状が異なるため、答えは簡単ではなく一概には言えません。歯科医院によって答えが異なる場合もあるでしょう。基本的には永久歯が生え変わってからの治療が多いですが、今回のケースのように、乳歯の段階であごの成長も考慮した治療を行う方が適切ということもあります。
お困りの方は、どうか信頼できる矯正歯科医院へお問い合わせください。

子どもの矯正開始のタイミング

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