スタンダードエッジワイズ症例
【症例3】下あごが発達した症例を矯正のみで治療
あごのしゃくれを取り除きバランスのとれた理想的な横顔に
治療者 | 与五沢文夫 よごさわ歯科矯正 |
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咬合分類 | でこぼこの歯並び(叢生)受け口(下突咬合) |
治療開始時年齢・性別 | 11歳1ヵ月 女性 |
動的治療期間 | 2年3ヵ月 |
抜歯 | 上顎両側第二小臼歯,下顎両側第一小臼歯 |
患者さんの症状 | 下の前歯が上の前歯より前に出て、いわゆる受け口・しゃくれといわれる状態になっています。 この患者さんの場合、下あごの大きさが顔全体の他の部分と比較して大きいという特徴がありました。 また、上下共にでこぼこの歯並びで、特に上あごのでこぼこの度合いが強い状態です。 |
■ここがポイント!
治療後の横顔を見てください。バランスのとれた美しい横顔になっています。
しゃくれて前に出ていた下あごが後ろに下がり、上下の前歯が後退し、正しい状態で咬み合うようになったことで、口元のバランスが整いました。
でこぼこだった歯並びもきれいに揃いました。
■治療前 Before Treatment
正面からではわかりにくいですが、横から見ると下唇が前に出て受け口になっていることがわかります。
また、オトガイ(あごの先)の部分の軟組織に緊張があります。
- 口を自然に閉じるのが難しく、力を入れないと口が開いてしまいます。
- 口を意識して閉じた時、下唇が前に出て受け口の状態になっています。また、若干、力んでいるようにも見えます。
- 下の前歯が上の前歯より前に出ており、咬み合わせが反対になっていることがわかります。また、下の歯列のでこぼこも強いことがよくわかります。
上下歯列ともでこぼこの歯並びで、特に上あごで歯並びの乱れが目立ちます。咬み合わせが反対になっている他、通常より下の歯が上の歯を覆うように深く咬み合っている状態です。奥歯の咬み合わせは下の奥歯が前方に位置しています。
■治療後 After Treatment
下唇が引っ込み、受け口が改善されたことで、バランスのとれた美しい横顔になっていることがわかると思います。また、あごの軟組織は緊張感なくきれいな状態です。
- 楽な状態で自然に口を閉じることができるようになりました。
- 前に出ていた下あごが少し後ろに下がり、唇は鼻の先とオトガイを結ぶ直線の中にバランスよく収まりました。
- 上下の歯列が正常に咬み合い、きれいに揃った美しい歯並びになりました。
- 正中がしっかり合っています。
- 左右ともに奥歯までしっかりと咬み合っていることが確認できます。
総括
動的治療期間:2年3ヵ月
下あごがこのまま大きく発育を続けた場合、外科的処置が必要になる可能性もありましたが、咬み合わせの状態などから判断した結果、矯正装置のみの治療で対応しました。今後のあごの部分の成長は治療に影響を及ぼすほど大きくないと判断し、下あごの回転を加えて治療を行い、治療を完了させています。
外科手術を回避し、矯正治療だけで治療を終了
外科手術は患者さんに大きな負担を強いるものです。他に選択の余地がない場合は別として、今回のように、手術を行うことなく無事に治療を終えることができたことは、患者さんにとっても歯科矯正医にとっても、好ましい症例でした。こういった症例の場合は、成長を予測することが重要です。