スタンダードエッジワイズ症例
【症例7】成長期の出っ歯の治療
口を閉じても前歯が見えてしまうほどの出っ歯がきれいに改善
治療者 | 妹尾 葉子 せのお矯正歯科 |
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咬合分類 | 出っ歯(上突咬合) 深い咬み合わせ(過蓋咬合) 口元の突出(両突歯列) |
治療開始時年齢・性別 | 13歳0ヵ月・男性 |
動的治療期間 | 2年5ヵ月 |
抜歯 | 有 |
患者さんの症状 | 出っ歯が気になって来院された患者さんです。 唇を軽く閉じた時に、前歯が見えてしまう状態です。 上下の歯列が全体的に前に出ているため口元が突き出し、ふてくされたような表情になっています。 |
■ここがポイント!
2年5ヵ月の治療で、出っ歯がきれいに改善しました。
前方に大きく傾いていた上の前歯は真っ直ぐになり、きちんと口を閉じられるようになっています。
突き出していた口元は後ろに下がり、バランスのとれた横顔になりました。
もう、ふてくされたような表情には見えません。
■治療前 Before Treatment
顔貌
- 口元全体が突き出し、ふてくされたような表情になっています。
- 前歯の傾きが激しいため軽く口を閉じた状態では、唇の間から上の前歯が見えてしまう状態です。
口腔内
- 出っ歯だけでなく、上下の咬み合わせが深すぎる症状、下のあごがやや右側にずれている症状もみられます。
- また、上の前歯だけでなく下の歯も前方に傾いているため、上下のあごと歯に対して治療が必要です。
■治療経過 Progress
4ヵ月経過時
ワイヤーで力をかけ、ゆっくりと歯を動かしています。
突き出た口元を後ろに下げるために抜歯を行いました。
抜歯位置
上下の咬み合わせがやや右側にずれているため、下あごの抜歯の位置を左右で変えてバランスを取っています。
13ヵ月経過時
この時期から、前方に傾いていた前歯を真っ直ぐにする力をかけ始めました。
かける力が強すぎても弱すぎても歯は思うように動きません。上あごでは、ワイヤーを曲げることでゆっくりと持続的に力が加わるテクニックを用いています(青矢印)。
また、顎間ゴムを使って上下の咬み合わせを調節しています(緑矢印)。
19ヵ月経過時
上の前歯はほとんど真っ直ぐになっています。
抜歯したスペースに後ろの歯が移動して、次第にスペースが狭まっているのがわかります。
上下の噛み合わ せの調節のために顎間ゴムを使用しています。
・真っ直ぐに立てる力(緑矢印)
・後ろへ移動させる力では、ワイヤーを曲げるテクニックを使用(青矢印)
25ヵ月経過時
抜歯スペースは完全になくなり、歯並びの改善は完了に近づいています。
咬み合わせをより緊密に整えるため、顎間ゴムを併用し、最後の調整をしています。
■治療後 After Treatment
顔貌
出っ歯がきれいに改善されました。もう、ふてくされたような表情には見えません。
- 突き出していた口元が後ろに下がり、バランスのとれた横顔になりました。
- 上の前歯は真っ直ぐになり、自然に唇を閉じられるようになっています。
口腔内
- 歯並び、咬み合わせともきれいに改善されています。正中がしっかりと合っていること、奥歯まで咬み合っていることが症例を見る際のポイントです。
- 上下とも歯並びがきれいに揃っています。 大きく前に突き出していた上の前歯も真っ直ぐになり、出っ歯が改善されました。
総括
動的治療期間:2年5ヵ月
治療前後の頭部X線規格写真(セファロ)を比較してみましょう。
治療前:レントゲン写真で見ると出っ歯の傾斜の様子がよくわかり、閉じた唇の間からはみ出していることが見てとれます。あごの大きさに比べて歯のサイズが大きいため歯列が口の中に収まりきれていません。
治療後:出っ歯の改善とあわせて、抜歯により歯列の長さが短くなり、口の中にバランス良く収まった様子がわかります。
歯列が口の中に収まったことで、ふてくされたような表情に見えていた口元の突出がなくなりました。
出っ歯を直すだけではなく、治療後にどのような顔貌(顔立ち)になるかも考慮した上で、抜歯を行うことを選択しました。