スタンダードエッジワイズ症例
【症例2】複合的咬合問題の改善
下の歯が見えない咬み合わせや強いでこぼこもきれいな歯並びに
治療者 | 与五沢文夫 よごさわ歯科矯正 |
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咬合分類 | でこぼこかつ深い咬み合わせ(叢生歯列弓・過蓋咬合)下顎後退( 両後退歯列 ・下後退顎) |
治療開始時年齢・性別 | 19歳6ヵ月 男性 |
動的治療期間 | 3年0ヵ月 |
抜歯 | 有 |
患者さんの症状 | 主に強い叢生と下あごが後退している状態でした。鼻呼吸は正常に行えており、歯並びが大変気になるとの主訴でした。 |
■ここがポイント!
上あごの八重歯が飛び出しています。また、前歯が下の歯に覆い被さり、全く下の前歯が見えません。しかも、上の歯が下の歯の方向へ押し付けられています。かなり強い叢生です。
本症例を治療するためには、あごの大きさや歯の大きさの考慮など注意深く検討する必要があります。
■治療前 Before Treatment
口元はしっかり閉じて引き締まっています。しかし、下あごがやや後退しています。
- 奥歯の咬み合わせが出っ歯な状態です。上の奥歯が前方に位置しています。上の2本の八重歯が飛び出しています。上の歯列が下の歯列に押し付けられています。
- 上の前歯4本は深く下の歯に被さって、下の歯列が見えない状態です。強い過蓋咬合です。
※過蓋咬合(かがいこうごう):過度に咬み合わせが深い状態のこと
■治療後 After Treatment
上唇が後退しリラックスした状態で口唇閉鎖ができています。あごの位置は変わりません。
下の歯列にきちんと上の歯列が2㎜程覆う程度に収まり、口の内側へ押し付けられていた上の前歯もきちんと正常な状態になっています。
- 奥歯の咬み合わせも正しい向き合い方になっています。
- 正中はしっかり合っています。これだけのひどい叢生にもかかわらず、きれいに治療できています。
今回は年齢的な発育を用いて治療することはできないため、第二大臼歯を抜歯してヘッドギアを用いて治療を行っています。第二大臼歯部には第三大臼歯を配列しました。ヘッドギアはご本人の協力も必要ですが、強い意思できちんと対応してくださったため、治療は順調でした。
総括
動的治療期間は3年0ヵ月と事前の計画・説明通りに終了しました。
今回はヘッドギアを用いて治療しています。ヘッドギアは奥歯を頭側へ引っ張り歯を移動させるスペースを確保することに用います。割合昔からある装置で、信頼性は十分あると思って良いでしょう。寝ている間はもちろん、できるだけ長い時間装着することが望ましく、着けたり着けなかったりでは効果は期待できません。患者さんの協力と忍耐が必要になりますが、少しずつ状態が改善していくことがわかれば、積極的に使用してくださることが多いようです。
強い叢生(でこぼこ)でもスタンダードエッジワイズ法なら矯正できます!
例えば、マウスピース矯正などでは、今回のように強い叢生や過蓋咬合の場合は治療が難しいことがあります。
一番オーソドックスなワイヤーを使った矯正ではどんな症例も治せます。
マウスピース矯正で無理矢理矯正しても、思い通りに仕上がらないこともあるかもしれません。
矯正治療を行う場合は、ご自身で治療方法を選択するのではなく、必ず矯正歯科医と相談して決めてください。